ベテラン曹長と駆け出し男の雨キャンプ②

By Nomadでオートキャンプ - 8月 01, 2020

その後、作戦は順調に進行していた。
無論、昼夜を問わずである。 

双方が持ち込んだ兵器群が
ベテラン曹長の作戦行動を強力に援護していた。


曹長がおぼつかない手で取り出した
地元では名が通ったホルモン。
男の好物である。

・・・曹長は一見ただの酔っぱらいだが、
事前に男の食嗜好を「Q」へ確認していたらしい。
諜報部員も顔負けの情報工作である。
ただ、もっとも恐るべきは
ダブルエージェント(二重スパイ)と化していた
「Q」 であることは間違いない・・・。

・・・そんな曹長がアルカポネ風ステーキと呼ぶ
なんだかおしゃれ料理を男に披露していた。
そのアバンギャルドな名称に
迂闊にも男は惹かれてしまった。

 訊くと、泥酔した目にはソファーにどかっと腰掛けた
小太りのおっさんに見えることが名前の由来とのこと。

 ・・・いわゆる、人間知らなくてよいことは
確かにあるのだという典型例だった・・・。

・・・口が寂しくなったらソーセージを焼く悪癖は
曹長が患う不治の病らしい。

この調理をみるたびに、曹長の巨大クーラーボックスには
ビールの海に大量のソーセージが
浮いているさまが目に浮かんだ。
・・・もはやグロ注意である。


その間、いたずらな神々がもたらす
絶え間ない数々の妨害。
12mmを超える雨。

タープ内側に浸透する雨。

曹長のコット下に住み着いた沢カニ。

頻繁なトイレのたびに目を奪われる名もなき花

雨が上がると必ず現れるホオジロの群れ。
  中央のホオジロは
「あん?おまえらどこ中出身よ??」
的な訝しげな目をしていた。


しかし、それらですら、
曹長の固い意志を阻むことは出来なかった。

・・・気が付くと再び夜が訪れる。

何度超えたかの記憶は定かではない。


夜の雨がタープを絶え間なく叩き続ける中、

オイルランタンの淡い光が
二人の男のシルエットをぼんやりと映し出していた。


---続く---

※この作品はフィクションです
実在する個人団体に一切関係はありません。
多分。

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2 コメント

  1. こんにちは!

    ひたすら飲みまくる曹長がすごいですね。文章を読んでいてこちらまで酔っ払ってきそうです、笑。「Q」の存在も気になります・・・!アルカポネ風ステーキの名称にもやられました、笑。

    花と蝶々の絵がたまらないですね!唯一の癒しのように見えます、笑。

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    1. taccさん、コメント有難うございます。
      期間中ずーーっと雨でしたので呑むか食べるか以外に選択肢が乏しくてですね・・・(笑)。

      あ、写真はどこかで撮影情報いれて再度あげますのでしばしお待ち下さいー。
      意外と24-70mmが頑張ってくれました。

      削除