・・・男はベテランカメラマンである。 撮影に投じた人生の時間は24時間を超えるという。 男の所持カメラはCanonEOSM3(中古)。いわゆる軽量ミラーレス一眼である。 初めての三脚購入に際して、己の高尾山(599m)なみに高い技量を鑑みて、HAKUBAさんの1500円3軸雲台ですらお釣りがくるとおもっていたという。 ・・・ところがである。 この三脚、昼間撮影は問題なくこなせるのだが、男は昼間に三脚が欲しくなるような望遠レンズや技術や根性をもっていなかった。必然的に利用する機会は少ない。 ・・・そして問題は夜間撮影である。 キャンプ場の地面は必ずしも水平ではない。さらに暗闇の中、いざ構図をきめるとなると撮影時の液晶画面では暗部が一切みえないのだ。本当に暗いのである。 ・・・決して鳥目気味の視力だけの問題ではないのである。 したがって、数秒の露光撮影→仕上がりを液晶で確認という修行のような作業を頻繁に繰り返す中でアングルを調整する必要に迫られるのだ。 その際、HAKUBA製三軸雲台だと、どうしても自由度が低いため調整に難儀するという現実をつきつけられていた。 ・・・結果として前衛的な斜め構図作品を意図せず連発していたのである。PCのハードディスクがただのデジタルゴミ箱と化しつつあった。 つまり、HAKUBA三脚の購入後ほどなくして、自身にふさわしい自由雲台三脚の必要性に迫られていたのだ。 清々しいほどに、なんとか人の銭失いである・・・。 早速男は代替品の検討をはじめた。 ベテランカメラマンを演出するために、おしゃれ臭ただよう頑強なイタリア製品がお似合いだろうと考えていたという。 男は財布の中身を念の為確認した。 わかっていたが全く無駄な動作だった。 ただの儀式である。 つまり、このお洒落三脚、純正望遠レンズ(中古)がかえる価格なのである。 ベテランカメラマンともなれば単焦点レンズのみで充分戦えると思っていた。被写体がほしければ自らが近づけばよいのだよと豪語していたはずが、今や手のひらを返したように望遠レンズを熱望している男からすれば、当然1秒以内に却下であった。 ・・・こうやって、全てのイタリア製おしゃれ製品とはいつも不仲のままである・・・。 ・・・Tycka? 知らないメーカの三脚である。どうやら割と名をよく目にするK&Fと同じく中国製らしい。 ・・・所詮、上に載せるものは中古の軽いカメラだからとたかをくくり購入にいたった。 購入するとケースがついてくる。 しかし、このケース随分と厚みがある。 例によって彼の国陸軍の携帯型対戦車ロケットキャリーケースの流用品なのだろう。とにかく異常にガッチリしていた。 ・・・ぱっと見、ただの機関銃の銃座である。 このメーカは陸軍お抱えの軍事企業にちがいないと確信したという・・・。 収納形態から3本の足をそれぞれ地面に向けて160度ほど開いて着地姿勢。 説明書によるとガォーク形態にも変形するらしいが、通常このスタイルで足や胴の長さを調整することで事足りている。足部は3段ネジ式で高さを無断階調整ができる。 最高160cm程度まで高さを調整できるらしい。 カメラマウント部。 カメラ用マウントアダプターが別途存在する(写真はカメラにマウントを取付後なのでうつっていない)。 写真右上のネジでクランプのようにアダプターを挟み込みシンプル様式。不自由はない。 水平器も付いているが、夜間には暗くて見えないのでまさに昼行灯である。 自由雲台部。 ミラーレス一眼程度の重量なら、写真左側の大型ネジを軽く締めるだけで動くことはない。 ボール直径36mmは伊達ではない。やはり物理力は国境を超えた最後の正義である。 溝がある方向なら真上方向にもカメラを向けられる。 足部の固定フック。 足の向きを変える場合はこのフックを押し込んで操作する。難易度はない。 数回の夜間撮影に利用したが極めて満足している。長時間持ち歩くのでなければ重さも気にならない。 軽量カメラでの暗闇撮影を、お財布に優しくかつ、ベテランを演出したい初心者には非常にオススメな一品である。 ・・・男は最初からこれを購入すればよかったと思う自分を、気合で無視し続けているという・・・。 ...