・・・昨夜のアブ攻撃機の猛攻をしのいだ我々の翌朝。
再び太陽からの無慈悲な赤外線攻撃に備え、タープによる対空防御を固める我々である。
斜めだろうが、傾きだろうが知ったことではない。
生き残るためだけに速度最優先でタープを張ったのことは今回が初めてであった。
・・・振り向くと何故かDOGON3の赤いコードからまったく動こうとしない現地民たるバッタ氏がいた。聞くとこの場を死守するという。
我々は勇敢な彼を迷いなく現地徴用の特命伍長に任命した。
・・・このときは彼がそこにこだわる理由はさっぱり分からなかったのだが・・・。
その後、爽やかな早朝の空気はあっという間に消え去り、再び熱波が我々を襲い始めた。
昨日同様、我々は迷いなく風呂に一時撤退である。
そして、ようやく、
待ち望んだ夕暮れが近づく。
わずかに降った夕立の残滓が幕上に残っていた。
早朝に見掛けたバッタ伍長は生存しており、昼間の乾きを水滴で癒やしていた。
もはや歴戦の戦友である。
空はまだ高く、
もはや驚異的に映る夏の緑。
・・・我々が敵う相手ではないことを悟るにはそう時間はかからなかった。
・・・ようやく、木々の幹が夕日で照らされるころ。
・・・紅茶軍曹が腕を奮った高級食材達がまもなく完成するのである。
フランスのSTAUB社風
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・・・日本の最先端調理技術の結晶たる名品の数々が満載である。
さすがは紅茶軍曹である・・・。
・・・いなばのカレー缶は仲間を呼んだ。
・・・片っ端から粛清である。
・・・いうまでもなく、その味は最高クラスの軍事機密である。
SP社ホオズキ風
コールマンケロシンランタンは燃料切れで沈黙し、焚き火がぼんやりと辺りを照らす。
・・・そして焚き火も消えた頃、
・・・見なれぬ偵察機が、
仄かな光を放ちながら、我々の頭上DOGON3のポーチ天井部にその機体を休めた。
・・・なかなか大胆不敵なスパイ機である。
・・・点滅信号でおそらく何かを伝えているのだが、我々が知る様式ではなく解読不能であった。CIAに知らせた所で正しい暗号解析など期待できないことを知っている我々は、彼との遭遇を公式記録に残すことをやめた。
後ほどカーツ佐藤大佐の情報によると、彼は遠く平家の末裔らしく、稀にこの実験場を偵察に訪れているらしい。源氏への反撃開始時間を我々に知らせていたのかもしれないが、我々にそれを知るすべはなかった。
そして、見上げた上空にはさらなる怪しげな来訪者が現れていた。
このような怪しい発光体の写真に不慣れなヘカ曹長が撮影すると、当然のようにピンぼけた怪しい写真となるのである・・・。
軍曹からの冷たい視線を背中に感じつつ、就寝時間厳守を理由にそそくさと撮影を終了したのは言うまでもない。
・・・この後、我々は寒くも暑くもないテント内で快適に眠りについた。
おそらく明け方はタープ+蚊帳だけだと若干肌寒い気温にまでおちたと思われるが、メッシュドアを半開にしたDOGON3+1インナーテント内は絶妙な気温であり、タオルケットを羽織ることで朝まで熟睡することができた。
当然のようにその幸せな時間の詳細が公式記録に残ることはない。
・・・またもや寝ているのだから。
つづく
スターウインドー作戦④